大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和26年(う)698号 判決

(イ) 検察官が原審第二回公判期日において、追起訴状記載の公訴事実の立証に当り、詳細な冒頭陳述を為さなかつたことは、所論の通りであるが、被告人並に弁護人は、右冒頭陳述に何等の異議も申し立てていないし、右公訴事実は、数は多いが、各犯罪の内容は簡単で被告人もこれを争つていないのであるから、検察官の冒頭陳述に不備欠缺があつても、判決に影響することはない。

(中略)

同第三点について。

(ロ) 判決において、法令の適用を示すには、各犯罪毎に如何なる法令を適用したか明らかにすることを要するのは、所論の通りであるが、犯罪事実の記載と適用条文とを見くらべて、如何なる犯罪に如何なる条文を適用したかが明らかであれば、条文を羅列しただけでも違法でなく又刑法第六十条の共犯の規定は、犯罪事実の中、共謀の上犯罪を犯したと記載した部分に適用したことが明らかであり、併合罪加重の規定についても、判決の内容によつて、どの罪が最も重いか推認することができれは、判決文に最も重い罪を特に指定していなくても違法ではない。

(弁護人の控訴趣意第二点)

原審は訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明かである。

一、原審第二回公判調書に依れば検事は昭和二十五年八月二十九日附及同年九月六日附の追起訴状に依り追起訴をなしたる上冒頭陳述として単に公訴事実を立証すると述べ数多の証拠を提出しているが斯くの如き冒頭陳述は事実が単順であり且起訴事実も僅少な場合に於ては必ずしも訴訟手続の違背と認める必要がないかも知れない、然し右起訴状の如く起訴事実も多く且起訴事実中全然罪質の異つたものを包含する如き場合に於ては斯る冒頭陳述は妥当を欠き訴訟手続の違背と認むべきである。

何となれば、被告人は如何なる証拠に対し如何なる防禦をなすべきかを判断する事が出来ないからである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!